こんにちは。歯科衛生士の田中です。
最近めっきり寒くなりましたね!
10月14日に市川市歯科医師会主催の口腔ガン研修会に行って来ました。
あまり聞きなれないと思いますが、今回は皆さんにも口腔がんについて少しでも知っていただければと思います。
口腔がんの認知度は未だ低いですが罹患者数は増加傾向にあり、1975年と比較すると3倍以上に達すると言われています。
性差、年齢を見ると60歳以上の男性に多い病態ですが、30年前の疫学調査と比較すれば男女比は3:1から1,6:1になり、若年化と女性の罹患者が増えてきている実態が明らかになりました。
今までと違った様相となって、サイレントキラーとして我々に忍び寄っています。
振り返れば1980年代の罹患率では子宮頸がんとほぼ同様の値だったので、よく対比して注意換気を国民に促していました。
ところが、その後子宮頸がんの病因はほぼ解明でき、HPVによる影響、そしてその同定と抗体作製による予防が可能となり、今では死亡率抑制が可能な制御できるがんとなっています。
それに反して口腔がんはどうでしょう?
全くの野放しであり、認知度も低く、第一発見者である一般歯科開業医でも初期の口腔がんを発見することは稀です。
厚労省の評価によれば、口腔がんは『希少がん』に属し、検診対象外のがんで片付けられているのが現状です。
無秩序に増加傾向のある口腔がんに対して、一般開業医の診療室が口腔がん発見の最前線であることを皆様に認知して頂ければと思います。
口腔がんで最も多く好発する部位は舌であり、特に舌の縁にみられます。
これは我が国だけでなく万国共通な症例であり、次いで歯肉がん、頬粘膜がん、口底がん(下の歯の内側の柔らかい部分)となります。
予後の判定はステージ(進展度)によって左右されます。
もちろん口腔がんにもステージ分類があり、進行ガンか早期ガンかを区別します。
最近の575例の口腔がんを調べると、60%以上が進行がんの状態で来院し、特に進行がんの中では歯肉がんが多くを占有していたことが判明しました。
逆に早期がんでは歯肉ガンは少なく、舌や頬粘膜が多くを占めていました。
すなわち、歯肉がんを早期に見つけることは難しく、難治性歯周病とほとんど区別がつかず、ある程度の大きさになって初めて気付く口腔がんであることがわかります。
~口腔がんの特徴まとめ~
- 早期は自覚症状が少ない
- 自覚症状が出る頃には進行していることが多い
- 粘膜疾患との鑑別が難しい
- 多臓器と異なり、触診・視診が容易
口腔がんは進行してからの発見となると、口腔機能・運動障害に繋がることが多くなります。見つけにくく、治りにくいがんの一種なのです。
しかし、毎日のセルフチェックや定期検診で早期発見に繋げることが出来るのです。
同じ部位に口内炎のようなものができてずっと治らない、日に日に大きくなっていく…など少しでもおかしいな?と思ったら、かかりつけ歯科に相談することをお勧めします。
また、市川市では口腔がん早期発見・予防のために口腔がん検診を実施しています。
30歳以上(平成30年3月31日時点での年齢)の市川市民
※市川市に住民登録のある方
※現在、口腔がんの治療中または、経過観察中の方は除きます。
いつまでも自分の歯で、美味しいものを食べられるように日々のセルフケア・チェックを行いましょう♪
市川市行徳(福栄) 予防を中心に小児から入れ歯まで
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はぎわら歯科クリニック